泥千葉

砂浜ピッツァ

オンライン全国大会における最適な審査方法の検討

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こんにちは。言論泥牛です。

JAPANCUP団体戦個人戦、WT19に出場した経験から、オンラインJEB大会の最適な審査方法について考えました。お付き合いいただければ幸いです。

 

一部、既存の大会の問題点などを挙げている箇所があります。これは今後の大会をより良くしたいと思えばこその議論であり、過去の大会を貶める意図は一切ないことをご理解いただけますと幸いです。むしろ開催していただけたおかげで、今より良い大会を考えることが出来るというところで、大会運営者は神。

 

 

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【はじめに】


私は、完成度や独自性など、いくつかの項目に分けて点数化し、それらを合算した総合値で競い合うという方法に反対です。
(以後、この方法を「審査項目の細分化」や「細分化」と表記します。)
代わりに、「審査員の、言語による説明」が最も重要だと考えます。

 

審査項目の細分化の致命的な問題点はいくつかあります。

 

1.普段のFSに対する視聴態度とかけ離れている

そもそも、我々スピナーは普段CVなどでFSを見る際に最初から "技の完成度" や "構成の良さ" などいくつかの項目に分けて、それぞれの次元で評価することはありません。さまざまな項目が独立して存在するのではなく、それらが互いに影響し合った結果、全体として「うめえ」「ヤバスンギ」などの印象に至ります。さらに、「この突っかかりのせいで全部台無し」「〆が良すぎるので技の粗さが気にならない」といったこともあるでしょう。これらの複雑な評価は絶対化された点数では再現できません。

 

実際、前回のJAPANCUP団体戦ではこのような講評もありました。

締めに至る流れはそれ以前に比べて印象が薄いが、締めが素晴らしすぎるためにさほど気にならない。

一般の部決勝T準決勝結果及び総評 - JEB: JapEn Board

 普段なら減点されるような要素も、他が良すぎてチャラになる。このような、一見非合理的な感情の機微こそが我々を惹きつけ、熱狂させるペン回しFSの奥深さではないでしょうか。これらを抑え込んで、完成度だけ、構成の良さだけの点数をつけることに意味はあるのでしょうか。ウオオ!!


2.結局言語による説明が必要

去年のJAPANCUP個人戦で、私が出場した部門には「独創構成」「新奇性」の項目があったのですが、これが当時の私には難解でした。さらに、審査結果は点数だけでした。

・独創構成
FS全体としての流れを評価する。
いわゆる「完成度」のような印象の要素は排除し、「どんな技をどの順番で使用しているか」のみに着目する。
構成から撮影者の意図、情緒あるテーマが感じ取れるか。

・新奇性
目新しく感じられるトリックやコンボがどれだけ含まれているか。

【2019】審査項目・配点/審査員一覧 - JEB: JapEn Board


独創性では客観的な指標が明示されていません。新奇性は一見客観的な指標があるように見えますが、審査員のこれまでの経験に100%依存します。どちらも、主観的な項目です。

主観的なものは、言語による説明がないと理解できません。前回の個人戦では「審査基準に合わせて自身の演技を修正し、改善する能力」も実力の一つだと考え、複数ラウンド制が採用されました。しかし、自分や他の人のFSのどこに新奇性を感じたのか、どこに情緒を感じていただけたのか、2桁の数字がポツンとあるだけでは何も伝わりません。最終的によく分からないまま動画を出し、なんか勝った、というような腑に落ちなさがありました。細分化による審査の客観化には課題が残ります。

 

Q. じゃあ細分化 & 言語フィードバックでいいんじゃない?
A. 細分化する意味ある?

 

結局主観が本質なら、100 or 10点満点でFSの点数&その点数に至った理由の説明が沢山ある方がはるかに有効です。去年ワルトナに出ましたが、詳細な点数表より一行の審査コメントの方が雄弁でした。

 

ここで、私は点数化を丸ごと否定しているわけではないことを明らかにしておこうと思います。点数化には大きな役割が二つあります。

  • 参加者が多すぎる際の審査の簡易化(e.g. 団体戦予選)
  • 審査結果の可視化

さすがに文章だけでは小回りが利かないので、6点! 78点! のようなFS自体への点数はあった方が良いと思います。点数の細分化が不要というだけです。

 

3.審査が大変

大会審査未経験で恐縮ですがおそらくクソ難しいと推測します。普段と全く異なる視点で評価することになるので...

 

 

以上より、JAPANCUP団体戦の審査方法が最適だと考えます。

  • 事前に審査員の好みや価値観を充分に説明する
  • 参加者はそれを了解し、それに沿った動画を撮る
  • 審査者は主観で審査し、審査内容を文章にて充分に説明を行う

 

【審査員の話】

ここまで主観での審査を推してきましたが、このような大会が成立するためには絶対にクリアしないといけないハードルが存在します。いわば前提となるような部分で、これがないと大会が一瞬で陳腐化します。それは、審査員の質です。

 

  1. 審査員がトップレベルのスピナーであること
    とても言いづらいのですが、技術に習熟していない未熟なスピナーが主観的な審査をしても説得力がありません。2018年はayaNoさん、Beigeさん、ponkotuさんという言わずと知れたトップスピナーが審査を行ったことが盛り上がりに大いに貢献していたと思います。審査員のカリスマ性が大会を成立させていたといっても過言ではありません。よって、審査員の選定は公募ではなく、運営側がよく吟味して権威のあるトップスピナーに直接依頼するのが好ましいです。

  2. 審査員の専門分野が多様であること
    審査が主観的である以上、あまりに自分と違う価値観の審査を受けても面白くないので、いくつかの枠があるべきです。極端な話、審査員がDrowsy3人だと絶望しかないと思います。多様な価値観で3枠は欲しいところです。個人戦なら3人の審査員の点数の平均点で勝負とかになるのかな...と思いますが色々問題がありそう。

 

【まとめ】

・点数より説明の方が良い

・オンライン大会は審査員の質が大事

・JAPANCUP団体戦は神

 

 

JAPANCUPは「完璧な審査は無理。しかし大会はアツい!アツいからやるんだよ」という理念のもと開催されたと記憶しています。とするならば、このオンライン全国大会は他ならぬペン回しファンの俺らが一番盛り上がることが最優先です。俺らが楽しい大会を作りましょう。作るんだよ!恐れずに議論トピックに意見を書きまくれ~!俺もあとで書きます 

japenboard.org

 

JAPANCUP団体戦、夏が来るぞ、オイ!